V.Q.パウエル社製(アメリカ)
ハンドメイド 18K金製(キー・メカニズム9K金製)
ソルダードトーンホール、インライン・リングキー、H足部管
頭部管スタイル:フィルハーモニー
シリアルナンバー:11310(2001年製造)
2016年よりメインの楽器として使用しているフルートです。
高校生の頃、調整に訪れていた大阪ドルチェ楽器店頭に展示してあった金のフルートを
店員さんに勧められるまま、吹いてみました。
「なんだこれは!!!」
その時愛用していた楽器もパウエルの14K金製でしたが、出て来る音の密度、豊かな音色、
そして、ずっしりとした楽器の重み・・・全てにおいて次元の違う。
その時の自分が出せるすべてを、しっかり深く受け止めて鳴ってくれる。そんな楽器でした。
「新しく入った総18K金です。」
これが18Kの楽器との出会い。
しかしパウエルの14K金を買ってもらったばかりの高校生の自分。
とてもじゃないけど、買い替えなんて考えられない。
「将来、ぜったいこの18Kを手に入れる!!」
そう決意しました。
しかし、決意虚しく、パウエル社では18Kの楽器はもう作られなくなってしまいました。
18Kの後継として、19.5K金製の楽器がデビューしましたが、やっぱり別モノ。
よく鳴るし、これはこれで良い楽器でしたが、あの時の感動には遠く及ばない。
何だかんだで、大学以来メインで使っている14Kホワイトゴールドを超える楽器はそうそう出てこないし、
自分でもこれがベストだと思っていたから、メインの楽器はホワイトゴールド一筋。
これからもずっと・・・
そう思っていた2016年。
「信じられないモノが入りました。一度観に来てください!」
との連絡に、また大げさだな・・・と思いつつドルチェ楽器へ。
「・・・これです!」
と出てきたのは、金のフルート。14Kか?それとも19.5Kか??
「・・・!?」
そこに現れた楽器の刻印は・・・18K
「嘘でしょ!!!!???18K!?しかも総金!?」
そこには紛れもない、あの18K金の楽器が。
ぱっとみた感じ、総18K金かと思ったのだが、キー・メカニズムは18Kではなく、9K金製とのこと。
(上にある写真でも、違いがわかるかな?管体はすこし黄色っぽい18K、キー・メカニズムは赤銅色っぽい9K)
総18K金ではなく、少し残念だったが、それでも18K金が出てきた事自体、奇跡的なこと。
聞くところによると、アマチュアの方がずっと大切にされてきたものを、手放されたのだとか。
前オーナーの愛が感じられる。本当に大切に扱ってこられたのであろう。
まだ販売前の修理や調整をする前の状態にも関わらず、状態はすばらしく、そのまま本番で使用できるほど。
しばらく店頭で吹いていたが、そのわずかな時間にも、どんどん自分に寄り添ってきてくれる感じが実感できる。
そして、記憶に鮮明に残っている、あの18Kの音。
これまでどんな楽器でも再現できなかった、あの18K独特の芳醇な音色が、溢れ出てくる。
気づけば、あれほど自分にしっくり来ていたホワイトゴールドを手放し、18Kを持ち帰っていた。
すごい決断の速さで、自分も驚いた。
でも、それだけ運命的な何かを感じる、そんな楽器がこの18K。
こうして、約12年ぶりにメインの楽器が更新される事になった。
【コラム】
パウエルフルートのシリアルナンバーの話。
パウエルフルートは、アメリカの本社のサイトで、シリアルナンバーからその楽器の製造年や使用が確認できるようになっている。
特に、僕のように中古で購入する身では、その楽器の歴史がわかるので、とても良いサービスだと思っている。
今回も購入後改めて、この楽器のシリアルナンバーを調べたところ以下のような結果が出た。