V.Q.パウエル社製(アメリカ)
ハンドメイド 木製フルート 管体:グラナディラ(キー・メカニズム銀製/ホワイトゴールドメッキ)
オフセット・リングキー、C足部管、頭部管スタイル:フィルハーモニー
シリアルナンバー:10392(1998年製造)
木製のフルートというと、昔の楽器ですか?と質問される方が多いが、
この楽器は1998年製。バリバリの現代っ子です。
おそらく、トラヴェルソのような楽器だと思っておられるのだろうが、全く別物。
メカニズムは、現代の銀や金の楽器と全く同じ。
あくまで素材が「木」だというだけです。
この黒い木は、クラリネットやオーボエ、ピッコロなどの素材としておなじみの
グラナディラ(紫檀)の木。水に沈むくらい比重が重い木です。
音色は、木製の楽器らしく、金属にくらべると暖かく、柔らかい。
同じ木製である弦楽器とのアンサンブルなんかでは、音色を溶け込ませやすく
重宝します。また、弦楽器のプレイヤーからも、「音色がとても良い」と大ウケの楽器です。
近年では、オーケストラなどでも木製の楽器を使用されているプレイヤーが増えてきましたね。
音色もさる事ながら、この楽器のキーの造形が素晴らしい。
ブリッチャルディキー(左手親指で操作するキー:左上の写真)の、このやわらかなカーブ・・・美しい。
この楽器の、キー・メカニズムは銀製なのですが、この楽器は購入後のオーバーホール時(2017年)に、キー・メカニズムに金メッキをかけています。ただ、管体のリングや、ジョイント部分にはメッキをかけられないため、銀のまま。通常の金メッキをかけた場合、リングやジョイントは銀色、キー・メカニズムは金色、そして管体は黒色と3色になっていまう。
そのため、色々考えた挙句、金は金でも、ホワイトゴールドのメッキにしてみた。
結果、リングやジョイントほとんど変わらない色に仕上げることができたので、良かった。
2017年 オーバーホール(キー・メカニズム ホワイトゴールドメッキ加工)以前の記事
僕の手汗は、銀を錆びさせてしまう。
どれだけ磨いても、すぐに黒く変色してしまう。
学生時代はそれが嫌で嫌で、錆にくいゴールドの楽器に憧れたものだ。
普段はバリバリとゴールドで吹いていても、ふっと吹きたくなる。
吹いて、その柔らかい音色に、自分自身が癒される。
そんな楽器です。
ちなみにこの楽器はいつもお世話になっているドルチェ楽器で中古品として手に入れたものだが、
最近になって、僕の兄弟子でもあるSさんが手放したものであった事がわかった。
同じ師匠のもとで学んだ奏者が、知らず知らずのうちに、同じ楽器に息を吹き入れている・・・。
素敵な運命のめぐり合わせだな、と感じでいます。