V.Q.パウエル社製(アメリカ)
ハンドメイド プラチナ製
管体プラチナ、10K金製リッププレート・ライザー、キー・メカニズム銀製18K金メッキ
ソルダード(ハンダ付け)トーンホール、インライン・リングキー、C足部管、Eメカニズム
シリアルナンバー:8053(1991年3月製造)
今では時々、店頭にも並ぶことが出てきたプラチナ製のフルートだが、この楽器が作られた頃(1990年代初頭)にはかなり珍しく、この楽器も、前オーナーがパウエル社に直接オーダーをしたもの。日頃お世話になっている、パウエルフルートの日本総代理店であるドルチェ楽器がパウエル社と総代理店契約を結んだのがちょうど1991年のことなので、その少し前にオーダーを出したということであろう。
仕様はプラチナ製に銀のメカニズムという、パウエル製プラチナとしてはかなりレア。ドルチェ楽器が総代理店になってから日本に輸入したプラチナはすべてゴールドメカニズム。
前オーナーは、かなり裕福な方だったようで、アマチュアでフルートを嗜んだ方。
だいぶ前に逝去されたそうで、それ以降奥様が所有されていたのだが、楽器を吹かれない方だったため、この楽器の管理を任され、長期に渡って預かっていたもの。どなたかこのフルートを欲しい方にお売りしたいとのことで、僕から買い手を探すことになったのだが、なかなかキャラクターの強い楽器で、買い手が見つからない。さらに、シルバーメカだったのも、不利だったようだ。
(見た目は完全に総銀製。)
そのまま数年預かっていたものの、最終的に、僕のもとに来ることになった。(もちろん有償で買い取りましたよ)
購入を機に、オーバーホールをして、タンポはストロビンガーパッドに変更し、メカニズムには金メッキを施したのがこちらの楽器。
これが購入前のお預かりしていた状態↓
さらに頭部管は、パウエル社の頭部管の技術者で、独立してウイリアムズ社を立ち上げたウィリアムさんが来日された折にリカットしていただくことが出来たので、本当に素晴らしい楽器に生まれ変わった。
それでもやはり、プラチナの楽器は難しい。
少しでも気を抜くと、やたら硬質の暗い音になってしまう。さらにシャーリングノイズも目立つ。
ただ、鳴るポイントをうまくつかみ、力まず、響かせるように吹くと、めちゃくちゃいい音がする。
低音から高音に至るまで、太く安定したいい音だ。
ビブラートを派手めにかけると、あのゴールウェイのような音が出せるのも、この楽器の魅力!
それでも・・・難しい!
プラチナ一本ですべての演奏をこなす先輩方を何人か知っているが、本当に尊敬する。
僕の実力では、プラチナはやはり難しい。まだまだ修行が足りません。。。。
↓右の写真。ジョイント部分だけ明るい銀色なのは、ここだけは銀製だから。パウエルのプラチナフルート(バーカートやヘインズも確かそう)は、ジョイント部分はプラチナではなく銀か金。